里山野菜

里山野菜株式会社について

「里山野菜」とはどんな企業でしょうか。

静岡県富士市に拠点を構える食品メーカーです。

オーガニック野菜を栽培してパウダー状に加工し、身体に優しい無添加のスープやドリンクを開発しています。日常使いはもちろん、災害時などにも役立つ保存食になるよう、日々研究を重ねています。

また、100年持続可能な農業を実現するため、環境負荷の小さい、肥料も農薬も使用しないオーガニック栽培手法を実践しています。

苦戦の毎日ですが、少しでも皆さんの健康な生活のお役に立てればと思います。

会社を立ち上げたきっかけは?

会社自体は昨年10月に設立したのですが、活動自体は10年以上前からはじめていました。

もともと環境問題に危機感を持っていたのですが、石垣島を旅した時に、潜った海で本来は青いサンゴ礁が白くなってしまっている光景を目の当たりにしたんです。海水温の上昇によってサンゴが死んでしまっていることにものすごく衝撃を受けて、このままだと環境破壊が進んで地球は立ち行かなくなってしまうのでは、と思ったんです。

そこで、環境に対して自分は何ができるのかと考えたときに、色々悩んだ末、「食」と「農」というキーワードにたどり着きました。「食」はほぼ全ての人が毎日行う行為です。「食」ならば環境問題を他人事(ひとごと)ではなく自分事として捉えていただけるのではないかと考えたんです。

思い立ったら吉日!と一念発起したのが2013年です。そこから土の研究を始めて、オーガニック野菜を栽培して、おいしく食べてもらえるようにと加工・開発を進めていく中で、事業を形にするべく起業に至りました。

100年持続可能な農業から生まれる安全で環境負荷の小さい農作物

「100年続く農業をしたい」とありますが、どういう想いが込められていますか?

農業はクリーンなイメージがあると思うんですけど、実は結構汚染をしているんです。肥料をたくさん使うと、作物が吸えない分は地下水として流れてしまうんですね。その汚染された水が湖や海に流れついて、大量のアオコや赤潮が発生する原因になっていく。要は、肥料の無駄遣いが汚染源になっているんです。

また、肥料の合成や採掘にも石油が使われていて、実は見えないところでエネルギーが消費されています。肥料や農薬を使わず土の力を最大限に引き出して栽培ができれば、「環境にも人にも優しい100年続けられる農業」を実現できるのではと考え、日々研究しています。

土の力を最大限に引き出すために行なっている事は?

約9年、ずっと土の研究を行なってきました。土が作物を育む力のことを「地力」と言うのですが、土とか地力に関する文献を読み漁ってみても、学術的にまだわからないことの方が多く、まさに『ブラックボックス』状態でした。ただ、微生物が地力に関係しているだろうことは直感で理解していて、その仮説のもと、最初は個別の微生物の純粋培養からスタートして、徐々に「常温・無殺菌」の環境下で、複数の微生物の培養をコントロールする研究へとシフトして行きました。

「人が野菜を育てる」という発想から、「野菜が勝手に育つ土を人が育てる」発想へのシフトが、持続可能な農業のカギを握っているように思います。

健康・美味しい・お手軽な食事キットを提供したい

無農薬で環境に優しい農業をされている里山野菜さんですが、どのような農作物を作られているのでしょうか。

今は「9種のスパイス・クラフトジンジャー」と「野菜のうまみカリー・スープ」が主力商品になってきているので、そこに多く使用するサツマイモやジャガイモ、トマトなどを栽培しています。ポタージュの商品もあるので、ビーツなども栽培していますが、主力の作物は10種類ぐらいに絞っている状態ですね。

野菜自体を売るのではなく、加工食品にされたのはなぜですか?

食材を乾燥加工することで、いざという時の備蓄・防災食として世の中にお役に立てるのではないかと考えたのが一番の理由です。

結果として賞味期限が伸びるので、私たちにとっては取り扱いやすいメリットが生まれています。また、現在取引いただいている飲食店やキッチンカーの方々からは、軽量でかさばらず、在庫がフードロスにならないという評価もいただいています。

最近、個人のお客様からは、「登山時に体に優しい食べ物を探していた!軽量なので登山シーンに相性が良いのでは?」という新しい利用方法のご提案をいただきました。

しばらく加工品の形での提供となりそうですが、いずれは、生野菜のレシピキットみたいな形で提供していくことも視野に入れています。

メイン商品について教えて下さい。

メイン商品は、オーガニック野菜をパウダー状に加工した無添加のスープやドリンクです。

無農薬だから安心なことはもちろん、様々な野菜が入っているので栄養価も高い。薬膳的な効能もあって、例えば先ほど主力商品としてご紹介した「9種のスパイス・クラフトジンジャー」なら冷え性改善、「野菜のうまみカリー・スープ」なら消化器官の調子を整えることを意図して開発しています。そのほか、現在新作ポタージュの開発も進めていますので、今後のリリースをお楽しみに!

ゆくゆくは誰でも商品づくりを体験できる施設をつくりたい

使用されている農作物はご自身で栽培されいるのですか?

1ヘクタール(サッカーコート1.4面ぐらい)の自社農場があって、そこで栽培を行なっています。広大な農場の手入れは大変で、効率良い運営方法を探りながら、日々試行錯誤の連続です(汗)来年は今年の失敗から得られた教訓をもとにさらなるブラッシュアップをして行きたいです。

もし、将来農場に皆様をお招きできる準備が整ったら、農場というフィールドでの体験から学びや気づきを得られる場として活用できたら素敵だなと思います。 そのときには、まず、裸足で土を踏みしめる体験をしていただきたいです。人間の起源(笑)に立ちもどれる貴重な体験になるかもしれませんよ!

そのほかにも、標高500メートルの富士山麓で、夜の星空を眺めながら焚き火を囲んでやきいもを焼く!…とか考えただけで夢が膨らみますね。

星空を見ながら焼き芋!素敵ですね。他にも展望はございますか?

蒲原に「オープンファクトリー 〜開かれた工場〜」を構えたいと考えてます。これまでの常識を覆す、消費者が作り手にまわり、加工の体験ができる「参加できる工場」というコンセプトです。

作り手と買い手の垣根を曖昧にすることで、より食やものづくりを「自分事」として捉えていただき、ご自身の「食べること」や「体の健康のこと」に向き合っていただくきっかけとなれたら嬉しいです。