vol.1すぐに作れる、野菜とスパイスのやさしいカレー。

すぐに作れる、野菜とスパイスのやさしいカレー。

第1号のテーマはおなじみ「カレー」。食にまつわる物語とともに、簡単に作れる素材をお届けします。

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カレーを、見つめなおす。 動物由来の原料を使わない野菜と穀物原料のカレールー

具材を放り込んで、煮込めば完成してしまうお手軽な料理。それでいて振る舞う相手がいれば、老若男女問わずほぼ間違いなく喜んでもらえる万能な料理「カレー」。そんなカレーを市販のルーで食べ続けてきて、少し胃がもたれるな、と感じたことがありました。食べ終わったあと、食器を洗おうとすると、水洗いだけでは油がヌルヌルしてなかなか落ちません。ルーの原材料を確認してみると、なんと動物性のラードが主要成分となっていたのです。スパイスや野菜ではなく…。これを知った時に、カレーという料理ときちんと向き合う時がきたな、と思いました。

動物原料がなければ胃もたれがない、洗うのもラク

宗教上、健康上の理由、あるいは動物に心的苦痛を与えないなどの理由により、動物を積極的に食べない考え方があります。5千年以上前の古代インドの思想がそれでした。当時、インドで大多数の人々が信仰していたヒンドゥー教では、神聖な牛やそのほかの動物の肉食は基本的に禁忌とされており、スパイスと野菜や米、小麦、乳製品を一緒に煮込んだスパイス料理が主だったという記録が残っています。そう、今注目を集めているプラントベースの考え方が、すでに古代インドでは主流だったのです。

ここから新たなチャレンジが始まりました。動物原料を野菜や穀物原料にすべて置き換えていく…地道な作業です。様々な野菜や穀物をパウダーに加工して組み合わせ、各々の作物がもつ味や薬膳的特性を考慮しながら、複数のスパイスや岩塩と調合。かくして、動物原料を一切使用しない、胃もたれしない(むしろ胃腸の調子が整う)、食器洗いがラクになる、プラントベースのカレールーがついにできあがりました。原料には、富士山麓にある自社圃場で丁寧に育てた無農薬・無肥料の野菜を使用しています。

医食同源 食べ物がそのまま薬になる、「薬膳」という暮らしの智慧。

「生薬」と呼ばれる強い薬効を持つ天然素材を調合して作られた伝統的な薬「漢方薬」。例えば生姜(ショウキョウ)、シナモン(ケイヒ)は、冷えや巡りを改善する漢方薬に含まれていることが多い生薬です。これらのスパイスを使用したカレーは、食べ物でありながら、体を整える薬にもなるのです。

薬効を持っているのはスパイスなどの生薬だけではありません。実は身近な野菜や果物のほぼすべてが、生薬ほどではない薬効を持っています。例えばトマトは体に不足する水分を補い潤す作用があります。生薬では作用が強く副作用が出ますが、日常の食材はうまくバランスをとるように振舞ってくれます。

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